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一応、ハボロイになるかな~と希望的観測で考えています。
移行その⑮
以下は以前に書いたあとがき的なもの
+++++++++
ついにこれをUPしてしまいました。更新第二弾です。
が、早くも更新月間に挫折している感じです。
広げなくていい風呂敷を広げた気分です。
あまり長くならないことを祈りつつ、続きをどうぞよろしく。
(2004.01.28)
(2005.11.12加筆修正)
(2006.10.11加筆修正)
(2010.5 移行)
この感情は本能を擽り
あの行動は理性を壊す
この2つは似て非なるモノなのに、俺は――。
黎明
事の発端であるあの日は確か彼女に振られた次の日で、かなり酒が入っていて
酔っぱらっていたからなのかもしれない。
まさか自分から男であり、しかも自分の上司でもあるこの人に「キス」をしてしまうとは。
あの日の前日、俺は3ケ月付き合っていた彼女から別れを告げられた。
理由は簡単。俺が忙しくてなかなか会えなかったから。
まぁ俺の部隊は、自分を含め上司に大変可愛がられているので、予定を開けることは難しい。
特に今年に入ってからは、テロリストによるトレイン・ジャックやら建造物破壊がたて続いて起こり、
つい3日前も爆弾予告がある等、今まで以上に時間がなかった。
その事を知っていた彼女も、初めは我慢してはいたのだが・・・
1ケ月に1,2回しか会えないんじゃ、我慢の限界だっただろう。
そう考えると・・・仕方ないかなぁとも思える。
-*-*-*-*-*-*-
「ってことで有給下さい。」
「何が、『ってことで。』だ。」
だからってこのまま振られっぱなしじゃ癪だったので、
自分の上司である東方司令部司令官のロイ・マスタング大佐に愚痴をこぼすことにしたワケだが。
「訳の分からないことを言っていないで仕事をしろ。」
案の定、5秒で張っ倒された。
が、それでも大佐に縋り付き、粘りに粘って3分後。
「じゃあ、せめて憂さ晴らしに付き合ってくださいよ。」
「私には関係ないじゃないか。」
「可愛い部下がお願いしてるんですよぉ~」
「何処が可愛い!?言葉は正しく使え、少尉。」
「・・・大佐。」
「なんだ。」
「先日の件、中尉にバラしますよ?」
「・・・・・・。」
ここ一番の脅しをかけ、大佐の反応を伺っていると・・・
「酒になら付き合ってやる。」
と、いう一言を紡ぎ出させる事に成功した。
「あ、じゃあ酒の肴は大佐の手料理で!」
「・・・いいだろう。」
それに便乗させる形でもう一つ頼み込むと、眉間にシワを寄せ不本意そうだったが、
俺に夕飯を御馳走してくれることになった。
-*-*-*-
P,M, 7:00
数種の酒の名前が書かれたメモを片手に近くの酒屋に買い出しに出掛け、
両手に指示通りの酒類を持って俺が大佐の家へ上がった時には、キッチンの方から香ばしい
匂いが漂って来た。
「大佐、只今帰還致しました。」
「あぁ、分かっている。リビングの方の冷蔵庫に入れておけ。」
「了解ッス。」
リビングへ向かう途中、オープンキッチンから料理を覗くと、
右から『揚げ物3品、焼き物2品、チーズの盛り合わせにサラダとスープ。』と、
色とりどりの食欲と酒の進みそうな肴たちが並んでいる。
本当にこの人は何をやっても要領良くこなす。
以前にも夕飯を御馳走になった事があるが、それもかなり旨かった。
それについて聞いてみたところ、
「野郎を喜ばすつもりで覚えたわけではない。以前お付き合いをさせて貰った女性に
『料理を作れない男はモテない』と言われたから練習しただけだ。」
と、返され、「じゃあモテたんですか?」と、言ってみたらとたんに不機嫌になり、
「その後付き合った女性には『私より料理が上手い人は嫌。』と言われた。」
・・・・・・。
いやはや、これには苦笑を漏らすしかなかった。
-*-*-*-
一通りの料理が出来たらしく、大佐が席へ着いたのは午後8時を回っていた。
ビールをコップに注ぎ、乾杯!と言うと「お前の不幸に。」と返してくる。
本当に上司に可愛がられる部下ってのは大変だと思う。
でも、可愛い部下を持つ上司っていうのも大変だろうから、どっちもどっちか・・・
なんて考えつつ、
「だから、なんで俺の部隊だけが、復興担当なんですか?!」
「それはだな、体力が有り余ってそうだったからだ。」
「だからって、ここんところ瓦礫処理ばかりじゃないですか!?」
「仕方がないだろう、テロリストが軍への力の誇示で景気よく壊していくのだから。
私の所為ではない。文句は私ではなくテロリストへ言え!」
「それでもあんなに過剰労働じゃ俺の部下死んじゃいますよ。」
「それらのローテーションを上手く作ってやっていくのがお前の仕事だろう?」
「だ~か~ら~その所為で俺は彼女に振られたんですよぉ!あぁ、リオ~!!」
「何を言っているんだ、それでもちゃんとお付き合いするのが男だろう。情けない。」
「あんたねぇ・・・」
などと言い合っては、大佐の手料理をつまみ(これも旨い!)、俺が日々の不満をぶつけて
大佐がそれにより強力な突っ込みをくれたりと、今回の席の主旨たる憂さ晴らしに時間を預けて
いた所までは覚えている。
それから2時間経ち、ワインからウィスキーへ移ったとき・・・
ふと、お互いの間に沈黙が走った。
それがあまりに不自然だったので、俺には一瞬時間が止まったように感じられた。
俺は目を見開き辺りをキョロキョロと見回したのだが、特に変わった所は見当たらない。
しかし、その時の大佐は明らかに違っていた。
「!?」
まず、彼の漆黒の瞳に思わず息を飲んだ。
酔っているからだろうが、彼の瞳があんなにも艶めかしく光っているのを見たことがない。
少し潤んでいるようにも見える。
視線を落とすと、今度は唇に目が止まる。
女性より幾分薄いその唇は、血色のいい色に染まっている。
頭では悠長に綺麗な色だと思っていたが、それがしっかりと意識に向かって降りてくる時には
すでに遅かった。
「何か」が意識を持ち去るのを感じた・・・
俺は大佐の左肩を掴むと強引に自分の唇を相手の唇に重ねていた。
続く