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移行その⑯
以下は以前書いたあとがき的なもの
 

 +++++++++

 黎明の2、更新月間期間第3弾です。

ここまでは初期(2004年頃)に書いたものの流れと同じなのですが、
ここから第三の人物、「彼」が登場することになり流れが変わっているために

書くのが大変なんですよ。

プロットもどきはあるので大幅変更は無いのですが、「彼」の言動って難しいです。
結構重要なこととか、大切な事を言うじゃないですか、パパなので(笑

言葉の選び出しに苦労します。

(2004.01.28)

(2005.11.12加筆修正)
(2006.10.12加筆修正)
(2010.5 移行)
 



黎明 2


大佐の家は禁煙だから、自分は家に上がってから一度も煙草を吸っていない。

確かに煙草を吸えないことで口寂しさはあったのは否めない。

・・・だからといって男で、しかも自分の上司であるこの人にそれをおこなってしまうとは。

 

 

 

 

意識が「何か」から返されて、一番初めに自身に自身に問い質したことは、

 

 

『なぜしてしまったのか。』

 

 

その行動の一つ一つは鮮明に覚えており、恥ずかしい事に温もりすら未だ残っているのに、

その時に湧き起こったであろう感情はいまいち覚えていない。

そしてなにより問題なのは、どう説明すればいいのだろうかと言うこと。

 

はっきり言って、自分にはなんだったのか分かっていない。

 

自分にもよく分かっていない事を他人に伝えるのは容易ではないわけで・・。

相手にも一瞬の出来事であり、しかも酔っていて思考能力が低下しているであろう今この瞬間に、

何かしらの答えを導くか、最悪でっち上げなくてならない。

 

それを怠ったら待っているものは・・・それを考えるのは止めておこう。

 

とにかく、自分の酔った頭で必死に思考を巡らせる。

 

 

 

 

そして。

 

 

 

 

 

考えついた答えは・・・・・冗談。

 

 

 

 

 

 

意味を持たない行動をしても、その一言で意味を持たせられる言葉。

 

素晴らしい、これしかないだろう。

 

俺は自分自身に言い聞かせ、今の行動を冗談と認識させた。

いや、させるしかなかった。

 

 

 

 

 

-*-*-*-*-

 

 

 

 

酔っている頭の中で考えがまとまった俺はゆっくりと大佐を掴んでいた手を引っ込め、

それとなく自分の身体を大佐から離れた所へ移動させていく。

そうして全体が見渡せる(と、言っても俺と大佐しかここには居ないが)位置に着く頃には、

大佐の意識にも状況が伝達されたようで、今し方までぱっちりと見開かれていた漆黒の瞳が

閉じられ再び開いた時、それだけで凶器になるような鋭い光を放つ双眸がこちらを向いていた。

 

 

 

「ハボック。上官命令だ。私の質問に正直に答えて貰おうか。」

「い・・Yes sir.」

 

思わず声が裏返る。

その時の俺の心境は、一歩一歩、処刑場へと足を進めていく

 

『囚人』。

 

まさにその通りだった。

 

 

 

「ハボック、今のはなんだ。」

 

執行人の質問は端的かつ明解である。嘘偽りを考える余裕はない。

 

「キス、もしくは口付けであります。」

 

こちらも端的に答えた。

 

「・・・私は男だな。」

「えぇ、そうっス・・いえ、そうであります。」

「ハボック。私はお前に何かしたか?」

「とっても可愛がられていること以外、特にはありません。」

 

 

 

 

 

・・・沈黙。

 

 

 

 

 

じわじわと嬲られている気がしてならない。

なのに逃げることも多分動くことも出来ない状況は、想像以上に過酷である。

再び、大佐から拷問のような質問を投げかけられた。

 

 

「お前は、同姓とさっきのような接触はいつも行うのか?」

「いいえ、今まで一度もありません。」

「・・・・・・。」

「・・・・・・。」

「・・気色悪いから、言葉は直せ。」

「・・・了解ッス。」

 

 

普段からこんな言葉でやりとりを行わないため、大佐が気色悪がるのは無理もない。

自分としても、只でさえ緊張しているのにこれ以上神経を使うのは遠慮したかった。

とはいっても、質問を逃れることなんて出来るはずもなく・・・

 

「・・・では聞くが、なぜあんなことを?」

「・・・言わなきゃ駄目っスか?」

「消し炭にされたいなら言わんでもいいぞ。」

「い、言いますよ。何というか、その・・ジョーダンですかね。」

 

 

 

 

 

  +++

 

 

 

きっちり3秒後に・・・後頭部を殴られた。確かに怒るのは当り前だ。

でも、自分自身でも分からない行動をどうしたら説明できるだろう。

まぁ、説明が出来たとしても結局殴られ、その上更にひどい目に合わされそうな気はするが。

 

 

「痛ったぁ~。」

 

かなり力強く殴られた頭をさすっていると、こんな言葉をもらう。

 

「燃やされなかっただけ有り難いと思え。」

 

確かにそうですがねぇ。

 

「だからってグーで殴らなくたって・・」

「パーで叩くだけじゃ威力が弱いからだ。」

「そんな、ひどいッス。」

「当り前だろう。冗談なんかでするのが悪い。」

「なら本気ならいいんですか?それって爆弾発言~!!」

「やめろっっっっ!!」

 

 

 

と、怒らせてみる。良かった・・・酒の席で。

とりあえず翌朝、黒こげ死体になって道ばたに転がされずに済んだようだ。

これで後はお互いが冗談で行われた行動として認識すれば問題ない。

こんなことはもう起こらないはずだから。

 

 

 

 

 

 

そう、これは冗談だったはず。それ以上なんて・・・

 

 

 

 

 

 

確かにあの時は少なくとも自分自身にはそう認識させたはずなのに、あれから時々

大佐の唇や視線を追っている自分がいる。

 

何故なのかは分からない。

 

もちろん今のところ誰にも気づかれてはいない。大佐本人にも。

しかし、気を付けていないと自分でも気づかないで見ている時があり、いつ他人に俺の行動を

気づかれてしまうのではないかと考えると、気が気ではない。

特にそれが本人、または他人から本人へ伝わってしまった日には・・・想像するに恐ろしい。

 

 

そこで俺が考えた事は、

 

『ここは思い切ってあからさまに大佐を避ける!』

 

と言う事。

いくら同じ職場、直接の上司と部下であっても俺自身があの人の傍にいる事はあまり無い。

いつもは有能美人であるリザ・ホークアイ中尉がいるからだ。

緊急の呼び出しがなければ会う事もないし、大佐の所に持って行かなくてはならないこの間の

テロの報告書も先日渡したばかりだ。

 

 

よし、俺のこの無意識の行動が収まるまでこの作戦を実行しよう。

 

きっと上手くいくはずだ。

そう思っていた。

 

 

 

だが、俺の上には神様はいなかったらしい。

 

 

むしろただ単に、俺の考えが甘かったのか・・・

数日前に現れた一人の男に、ズバリと言い当てられてしまった。

その人物の名は『マース・ヒューズ』。

 

  

 

続く

 

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