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全四話ですが、最後が書けていません。
話的には終わってもいいかなとも思ってるんですが、ちょっと場面構成的に
具合が悪いので、、、
いつか書ききりたいです。
―ツタエゴト―
―1―
目の前には一体何が―― 。
ぴちゃっ、ぴちゃり、ぴちゃっ、ぴちゃり、ぴちゃっ、
一歩一歩足を踏み出すたびに、足元に液体を感じる。
生温く少し粘性があるソレは、まるで自分は水ではないと主張している様で歩くたびに彼女の
足に絡みついている。しかし周りには光がないために、ソレらを確認することは出来ない。
(どこまで進めばいいのかしら・・・・・)
進めば進む程、足元を流れる液体の量が増している気がする。真っ暗な中、目的の方向さえ
も分からずただ歩き回るのは心許ない。
(こんな時、あの人が傍にいてくれたら・・・)
つい、いつもの癖でそう考えてしまう自分がいる。
今までの日常では当たり前だったこの考えは、現在、決して叶えられることはない。
あの人はもう――― 。
どの位時間が経過しただろうか。
俯いていた顔を上げると、前方に淡い光が見える。
今まで周りは暗く、行く当ても不確かだった状況からの変化を感じた彼女は、その光の方向に
歩みを向けた。それが目指す場所だと信じて・・・。
目標が定まった為か、幾分歩調も早くなり彼女は胸の高まりすら感じていた。
しかし、段々と光に近づくにつれ形を作り始めた光を見ていると、彼女の中に言いしれぬ不安が
募ってきた。果たして、あそこは本当に目指すべき所なのかと。
だがその心の戸惑いとは裏腹に、彼女の足は光の方向へと進んでいく。
(こ、ここは・・・・)
辺りを見回すと薄暗くはっきりとは分からなかったが、どうやらそこは見慣れたセントラルの
一画である様で、彼女は思わず息を飲んだ。
(あ、あれは・・あの光は・・・・・・電話ボックス!)
彼女がその光の正体を認識した途端、周りの暗闇は一瞬にして消え去り、
彼女の目の前には所々を緋色の何かで緋く染められた電話ボックスが佇んでいた。
恐る恐る目線を下に降ろす彼女の視線の先には、先程彼女の足に絡みついていた液体が
流れ出ている。
その液体の色も ―――――――――― 緋 。
そしてソレが流れ出る先にあるものは―――― 。
a.m.4:30
グレイシアは夢から現実の世界へと飛び起きた。その顔は顔面蒼白で呼吸も荒く、そして
彼女の身体からは滝の様な汗が流れ出ている。
今日で一週間、あの人が死んでから約一ヶ月半、彼女は全く同じ夢を見続けている。
逢いたいと切に願う彼には逢えず、彼の最後の場所ばかり出てくる夢を・・・
彼がこの世から居なくなってしまってまだ一ヶ月半、彼女の中の深い悲しみが薄れることは
なかったが、悲しみに押し潰される事もなかった。
それは単に愛娘=エリシアのおかげであろう。たった一人、彼女と彼を結ぶ娘がいたことで、
グレイシアは今、生きていられるのであった。
(この子を不安にさせたくない・・・・・)
今の自分を見たら、幼いながらも娘はきっと母親の事を心配するだろう。
隣ですやすやと寝息を立てている娘を見つめグレイシアはそっと頭を撫でると、
彼女を起こさないようにゆっくりとベッドから抜け出し、部屋から出ていった。
続く